健康診断で血糖値・HbA1cが高いと指摘された方へ
- 「血糖値が高いと言われた」
- 「HbA1cが基準値を超えていた」
- 「糖尿病の疑いがあると言われた」
- 「家族に糖尿病がいるので心配」
このような場合は、一度ご相談ください。
糖尿病は、初期にはほとんど症状がないことが少なくありません。しかし、高血糖の状態が長く続くと、目・腎臓・神経などの合併症だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクも高くなります。
健康診断で異常を指摘された段階で状態を確認し、必要に応じて生活習慣の改善や治療を始めることが大切です。
当院では、血糖値やHbA1cだけを見るのではなく、血圧、コレステロール、中性脂肪、体重、腎機能なども含めて総合的に評価し、一人ひとりの状態に合わせて診療を行います。
このような方はご相談ください
- 健康診断で血糖値が高いと言われた
- HbA1cが高いと言われた
- 「糖尿病の疑い」「要再検査」「要精密検査」と記載されていた
- 尿糖を指摘された
- 血糖値が少し高い状態が何年も続いている
- 糖尿病の家族歴があり、自分も心配
- 最近、体重が増えてきた
- のどが渇く、水をよく飲む
- 尿の回数や量が増えた
- 食べているのに体重が減ってきた
- 疲れやすくなった
- すでに糖尿病と診断されており、治療を継続したい
- 他院で糖尿病治療中だが、通院先を変更したい
健診結果がお手元にある方は、受診時にお持ちください。
糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンの分泌が不足したり、インスリンが十分に作用しなくなったりすることで、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。
インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を適切な範囲に保ち、血糖値を下げる働きをしています。
糖尿病では、インスリンの分泌が低下する、またはインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)ことによって血糖値が高くなります。
日本人の糖尿病の多くを占める2型糖尿病では、遺伝的な体質に、食生活、運動不足、肥満、加齢などさまざまな要因が組み合わさって発症します。
糖尿病は症状がなくても進行します
糖尿病というと、
- 「のどが渇く」
- 「水をたくさん飲む」
- 「尿が多い」
- 「体重が減る」
などの症状をイメージする方も多いと思います。
しかし、このような症状が現れるのは血糖値がかなり高くなってからで、初期の糖尿病では自覚症状がないことも少なくありません。
そのため、「何も症状がないから大丈夫」ではなく、健康診断の血糖値やHbA1cの異常が重要なサインになります。
血糖値とHbA1cの違い
血糖値
血液中にどのくらいブドウ糖が含まれているかを示す値です。
食事や運動などの影響を受けるため、採血した時点の状態によって変化します。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
HbA1cは、過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映する検査です。
当日の食事だけでは大きく変化しないため、糖尿病の診断や血糖コントロールの評価に重要な検査です。
ただし、HbA1cだけで糖尿病と診断するわけではありません。
血糖値、HbA1c、症状、これまでの検査結果などを組み合わせて診断します。
糖尿病の診断基準
糖尿病の診断では、主に次の検査を用います。
| 検査 | 糖尿病型となる値 |
|---|---|
| 空腹時血糖値 | 126mg/dL以上 |
| 75g経口ブドウ糖負荷試験 2時間値 | 200mg/dL以上 |
| 随時血糖値 | 200mg/dL以上 |
| HbA1c | 6.5%以上 |
これらの値を超えたからといって、すべての方が1回の検査だけで糖尿病と確定するわけではありません。
原則として血糖値を含めた検査結果を確認し、必要に応じて再検査を行って診断します。
一方で、血糖値とHbA1cが同時に糖尿病型を示している場合など、1回の検査で糖尿病と診断できることもあります。
HbA1cが高いと言われたら
健康診断では、糖尿病の診断基準に達する前の段階から異常を指摘されることがあります。
たとえば、
HbA1c 6.5%未満だから糖尿病ではないので放置してよい
というわけではありません。
日本糖尿病学会の診療ガイドラインでは、HbA1c 6.0〜6.4%では75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が強く推奨される場合があり、HbA1c 5.6〜5.9%でも、ほかの条件によってはOGTTを行うことが望ましいとされています。
血糖値やHbA1cが正常範囲を超えている場合には、将来糖尿病へ進行する可能性を考え、体重や生活習慣なども含めて評価することが大切です。
「境界型」「糖尿病予備群」と言われたら
糖尿病型にも正常型にも当てはまらない状態を「境界型」と呼びます。
一般には「糖尿病予備群」と呼ばれることもあります。
境界型の段階では、まだ糖尿病と診断されないこともありますが、正常な方と比較すると将来糖尿病を発症する可能性が高くなります。
また、動脈硬化のリスクにも注意が必要です。
この段階から、
- 食生活を見直す
- 適度な運動を行う
- 適正な体重を維持する
- 定期的に血糖値・HbA1cを確認する
ことが重要です。
糖尿病の主な種類
糖尿病にはいくつかの種類があります。
1型糖尿病
自己免疫などにより膵臓のインスリンを作る細胞が障害され、インスリンの分泌が著しく低下する糖尿病です。
インスリン治療が必要となることが多く、比較的急速に発症する場合だけでなく、成人になってからゆっくり進行するタイプもあります。
2型糖尿病
糖尿病の中で最も多いタイプです。
インスリンの分泌不足とインスリン抵抗性がさまざまな程度に組み合わさって発症します。
遺伝的な体質だけでなく、肥満、食生活、運動不足、加齢など多くの要因が関係します。
その他の糖尿病
膵臓や肝臓の病気、内分泌疾患、薬剤、遺伝子異常などによって糖尿病になることがあります。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見または発症した、糖尿病には至っていない糖代謝異常です。
通常の糖尿病とは診断基準が異なります。
糖尿病を放置するとどうなる?
血糖値が高い状態が長期間続くと、全身の血管が障害されます。
糖尿病の代表的な慢性合併症には次のものがあります。
糖尿病神経障害
手足のしびれ、痛み、感覚低下などが起こることがあります。
糖尿病網膜症
目の網膜の血管が障害されます。
進行するまで自覚症状がないこともあり、糖尿病と診断された後は定期的な眼科受診が重要です。
糖尿病腎症
腎臓の機能が徐々に低下します。
初期には自覚症状がほとんどないため、尿蛋白・尿アルブミンや腎機能などを定期的に調べます。
心筋梗塞や脳梗塞にも注意が必要です
糖尿病では細い血管だけではなく、動脈硬化も進行しやすくなります。
その結果、
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 末梢動脈疾患
などのリスクが高くなります。
特に、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙などが加わると動脈硬化のリスクはさらに高くなるため、糖尿病だけを治療するのではなく、これらを総合的に管理することが重要です。
当院で行う糖尿病の検査
患者さんの状態に応じて必要な検査を組み合わせます。
| 検査項目 | 内容・目的 |
|---|---|
| 血糖値・HbA1c | 現在および最近の血糖状態を確認します。 |
| 腎機能 | クレアチニン・eGFRなどを確認します。 |
| 尿検査 | 尿糖、尿蛋白などを確認します。必要に応じて糖尿病腎症の早期発見のため尿アルブミンなどを評価します。 |
| 脂質 | LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを確認し、動脈硬化リスクを評価します。 |
| 肝機能 | 脂肪肝などを合併していることも多いため、必要に応じて確認します。 |
| その他の検査 | 患者さんの状態によって、インスリン分泌能を調べる検査や、1型糖尿病などを鑑別する検査を追加することがあります。 |
糖尿病の治療
糖尿病治療の目的は、単に血糖値を下げることではありません。
良好な血糖状態を維持することで糖尿病による合併症を予防し、健康な方と変わらない生活の質と寿命を目指すことが大切です。
治療は大きく、
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
の3つを組み合わせて行います。
食事療法
糖尿病だからといって、「糖質を一切食べてはいけない」というわけではありません。
体格、活動量、年齢、合併症などを考慮しながら、食事の量や内容、食べ方を整えていきます。
極端な食事制限ではなく、長く続けられる方法を考えることが大切です。
運動療法
適度な運動には、血糖値を下げたり、インスリンを効きやすくしたりする効果があります。
ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングなどを、患者さんの体力や持病に合わせて取り入れます。
合併症や心臓病などがある場合には運動が制限されることもあるため、医師と相談して行います。
薬物療法
食事療法・運動療法だけでは十分な血糖管理が難しい場合には、薬物治療を行います。
現在は、
- 内服薬
- GLP-1受容体作動薬
- GIP/GLP-1受容体作動薬
- インスリン製剤
など、さまざまな治療法があります。
どの薬が適しているかは、HbA1cだけで決めるものではありません。
年齢、体重、腎機能、心臓病や腎臓病などの合併症、低血糖のリスク、生活スタイルなどを考慮して治療法を選択します。
HbA1cはどこまで下げればいい?
多くの糖尿病患者さんでは、合併症予防の観点からHbA1c 7.0%未満が一つの目標になります。
しかし、すべての患者さんが一律に7.0%未満を目指すわけではありません。
年齢、糖尿病になってからの期間、合併症、認知機能、低血糖の危険性、使用している薬などを考慮し、一人ひとりに適した目標値を設定します。
「HbA1cは低ければ低いほど良い」というわけではなく、低血糖を避けながら安全に治療することも非常に重要です。
糖尿病は「早く見つけて、長く付き合う」病気です
健康診断で初めて血糖値やHbA1cの異常を指摘された方の中には、
「まだ症状がないから大丈夫」
「もう少し様子を見よう」
と思われる方も少なくありません。
しかし、糖尿病やその前段階では、症状がない時期から血糖異常や動脈硬化が進行していることがあります。
一方で、早い段階から食事や運動、体重などを見直すことで、糖尿病への進行を予防・遅延できる可能性があります。
健診で異常を指摘されたことを、生活習慣や健康状態を見直すきっかけにしていただければと思います。
当院の糖尿病診療
当院では、血糖値やHbA1cだけではなく、
- 血圧
- LDLコレステロール・中性脂肪
- 体重・BMI
- 腎機能
- 肝機能
- 尿検査
- 喫煙歴
- 心血管疾患のリスク
なども含めて総合的に評価します。
糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病は、それぞれ別々に存在するのではなく、複数が重なっていることも少なくありません。
そのため当院では、生活習慣病を総合的に診療し、将来の心筋梗塞・脳梗塞・腎機能低下などの予防につなげることを重視しています。
より専門的な検査や治療が必要な場合には、適切な専門医療機関と連携して診療を行います。
初めて受診される方へ
健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方は、
- 健康診断の結果
- お薬手帳
- これまでの血液検査結果
などがあればお持ちください。
初診では、現在の血糖状態だけでなく、これまでの健診結果、体重の変化、食生活、運動、家族歴、服用中の薬などを確認します。
必要な検査を行い、
- 「現在糖尿病なのか」
- 「糖尿病の前段階なのか」
- 「治療が必要なのか」
- 「まず生活習慣の改善からでよいのか」
を判断していきます。
糖尿病についてよくあるご質問
健康診断で血糖値・HbA1cの異常を指摘されたらご相談ください
糖尿病は、自覚症状がほとんどないまま進行することがあります。
しかし、健診で血糖値やHbA1cの異常が見つかった段階から適切に評価し、生活習慣を見直したり治療を行ったりすることで、将来の合併症を予防できる可能性があります。
「まだ糖尿病と決まったわけではないから」
「症状がないから」
と放置せず、一度現在の状態を確認しておきましょう。
当院では、糖尿病だけでなく、高血圧・脂質異常症・高尿酸血症などを含め、生活習慣病を総合的に診療しています。
健康診断で異常を指摘された方もお気軽にご相談ください。

